こんにちは。
majakkaのオーダーメイド額縁です。
前回の続きです・・・
(前回①こちら)
20代の初めに飛び込んだ「額縁」の世界。
そのなかでも「本縁」というジャンルの額縁を製作する職人のもとに飛び込んだわけなのですが、まず、額縁とは?を、ひらたく説明させていただきますね。
-額縁とは? ------------------
まず、額縁のはじまりは?歴史を紐とくと・・・
古代、人々は教会や宮殿に描かれた宗教的な絵画やレリーフのもとで神々に救いを求めたり豊かな暮らしを願ったりしていました。(いきなり話し古いな!古代か!)
やがて、絵画やレリーフは持ち運びのできる形状に発展し、建築から独立した芸術作品となり、それらを飾るために生まれたものが額縁の原型であるといわれています。
・・・額縁の出発点って、神々しいなあって思うんです。
わたし自身、厳かな気持ちになるのも、そんな背景があるからなのかなあ、と。
さて、日本で西洋式の額縁が盛んに作られるようになったのは明治初期頃。
当時、まだ洋風の額縁の資料も乏しかった頃、試行錯誤のなかから生まれた日本の洋額縁。
その技法は今も受け継がれていて、20代の初めにわたしが眼にしたものも、その古典技法から生まれる「本縁」といわれる額縁だったのです。
-本縁とは? ------------------
額縁は製法により、本縁(ほんぶち)と組縁(くみぶち)と区分がなされています。
本縁・・竿状の材料を枠状に組み上げた後に、塗装や金箔などの加工を施して作り上げる額縁。そのため角の継ぎ目が見えないのが利点。通常、この形式の額縁は油彩額となる。
組縁・・塗装などの加工を済ませた長い竿状の枠を切り出し、それを組み合わせて作られた額縁のこと。本縁と違い角の継ぎ目が見えやすい。主にデッサン額などがこの形式。
(ウィキペディアより引用)
本縁は、無塗装の木地の上に胡粉と膠で練った下地を塗り、その上に加飾を加えていきます。木地に手彫りを加えてから塗りの工程に入る手の込んだものもあります。
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下地塗りの作業風景 |
-いまの暮らしにフィットする額縁とは? ------------------
びっしりと彫りもほどこされキラキラもりもりとした本縁は、まさに「これぞ額縁!」という風格と貫禄をそなえているのですが、わたしには違和感がありました。
ものとしては素晴らしい!
でも、これが、いまの普通の暮らしのなかにフィットするかな?と。
額縁の世界に飛び込んだときから、美術界にだけ存在する額縁をつくることがゴールだったのではありません。
ターゲットはあくまでも「普通のひと」としていました。
普通の暮らしのなかに在って、キチンと存在感はありながらも
でしゃばらず、でも、「在る」ことに納得の出来るものを作りたかったのです。
絵画、美術、芸術、そして、額縁を、一部の人に受け入れられるものではなく、もっと多くの人の手元に届けたい。
そうなったとき、その外枠となる額縁が、ギラギラして暮らしと調和しないものであり続けたらどうだろう?
果たして、届くだろうか?
そんななかで、なによりもありがたかったことが、
額縁つくりの技術を教えてくださった職人さんの生み出す額縁が、
いわゆる「THE 額縁!」的な華美すぎるものから離れた
非常にシンプルなかたちであり、色の重なり掠れが質感豊かで、
見てるだけで触感さえも伝わってくる、まさにわたしの求める額縁だったのです。
ただ、わたしが職人向きでなく、創造向きの人間であることと、
時代背景として弟子はとれないという現実とがかさなり、
ひとりでなんとかしなければならない時期は、あっという間に訪れました。
しかし、工房のない立場、つながりのない(ギャラリー・作家等と)立場で、
ゼロから額縁を仕事として始めることは非常に難しく、
どうしたら作れるかを模索しながらの日々でした。
-中身を知る・木を学ぶ ------------------
職人さんのもとを離れてから、ひとり試行錯誤。
作品展というカタチをとりながら、
オリジナル額縁を展示して
販売・受注をいただくスタイルを続けていると・・・
さかんに、中身を問われることが多くなりました。
「これは木で作っているのですか?」
わたしの作る額縁の素地は全て木であったのですが、
塗りの具合で金属に見えることもあったせいでしょうか。
木です。と答えると
「では、どんな木で作っているのですか?」と。
当時は恩師の職人さんを通して木地屋さんに作っていただいた木枠を使っていたので、ゼロから自分ですべて作っていたわけではありません。
それが、もどかしかったことと、
時代の流れから、額縁の枠を作ってくれる木地屋さんが減少しているという現実が自分を奮い立たせていました。
額縁を作るなら、素地だ。
まず、木から勉強しよう。
ということで、木工の技術を教えてくれる
長野県木曽の上松技術専門校に入校したのが30代初めのこと。
額縁の「装飾」という面から一度はなれ
素地の木を学ぶところから、再スタートしたことが、
より「暮らしに近い」額縁を作るキッカケを強くしたと思うのです。
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学校の寮にて |
次回③で、
わたしたちの仕事の場、工房+Shopであるmajakka(マヤッカ)を
ともにつくった「木の家具を作るひと」と出会います。
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神戸・須磨。海と山のある穏やかな町で小さな工房とお店を夫婦で営んでおります。
それぞれに家具(夫が担当)と額縁(妻が担当)を手づくりのオーダーメイドで製作しています。
ひとりひとりの暮らしにあわせた、無垢の木の家具と、大切な想いをくるむ額縁。
お客さまの暮らしが心地よくゆたかに育っていくお手伝いをしています。
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